動物写真を楽しもう〜壺齋散人の生命賛歌 |
HOME|ブログ本館|東京を描く|あひるの絵本|美術批評|フランス文学| 万葉集|プロフィール|BBS |
![]() |
上の写真(AP提供)は、リオのカーニヴァルに付随して行われたドッグパレードでの一齣。ワンちゃんの口から垂れ下がった異常に長い舌が観客たちの興味を引いた。犬の舌はだいたい長いものと決まっているが、それにしてもこれはみごとと言うほかはない。 舌が長いとなにかいいことがあるのだろうか。人間の場合については、舌は長すぎても短すぎても不都合だと受け取られる。長い舌は長広舌などといって冗漫さを想起させるし、短い舌は舌足らずといって頭の悪さを想起させる。まして舌を二枚も持っていたら大変なことになる。二枚舌は信用できない人間の最たるものなのである。 人間が舌にこだわるのは、舌が言語活動と深く結びついているからだ。言葉の生命である論理は中庸を旨とするものだ。 犬の場合における舌は、言語活動とは関係しない。主に摂食や吸水に用いられるほか、体温の調節に役立っている。だから犬にとって舌が長いことは生きていくうえで不都合にはならない。むしろプラスに働くといってよい。だがそれにも限度があろう。垂れ下がった舌が地面を這うようでは、かえって生きていくうえでの障害となる可能性がある。 このワンちゃんの場合、おそらく遺伝子に突然変異が起こってこんなに長い舌を授かったのだろう。この長い舌がどんな具合なのか、ワンちゃんに聞いて見てもわからないかもしれない。もしこの舌が生きていくうえで有利に働くようなら、このワンちゃんは多くの子孫を残すことになるだろう。 |
|