動物写真を楽しもう〜壺齋散人の生命賛歌
HOMEブログ本館東京を描くあひるの絵本美術批評フランス文学 万葉集プロフィールBBS

あんこう(鮟鱇):不思議な深海の生き物



あんこうといえば、鍋物とあんきも、ちょうど今頃の冬の味覚だ。我々が食しているそのあんこうが、どれもみなメスであることは普段あまり気にはしていない。ところがものの本に当たると、あんこうのオスというのは、我々人間様の目に触れることはまずないのだそうだ。というのも、あんこうのオスはメスに寄生し、心も形もメスと一体化してしまうというのだ。

あんこうのオスはメスよりもはるかに小さい。メスと出会ったオスは、するどい歯でメスに食らいついて離れない。しばらくすると、メスの肌や血管と融合し、精巣以外はすべてがメスの組織と融合してしまう。メスはこうしたオスを、それぞれ6匹前後自分の体内に飼育しているという。とはいってもその内実は、生殖に直接関係のある部分だというから恐ろしい話だ。アンコウのメスにとってオスとは、単なる子種に過ぎないというわけなのだ。

そのメスのあんこうは、多くの場合深海の底近くに潜んでいる。頭から細長い触角を伸ばし、暗黙の中でその先端を光らせることで、餌となる生き物をおびき寄せる。

あんこうには200種類くらいが確認されている。我々に馴染みが深いのは食用になるあんこうと、提灯あんこうだ。上の写真はニシアンコウ(Lophius piscatorius)という種で、体長2メートル、体重60キロにもなる、あんこうのうちで最大のものだ。







HOME魚類






作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2012
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである